宮川 基英

「試合」を本来あるべき姿への原点回帰へ

MESSAGE

この度の取り組みに対して、空手業界に身を置く立場として私見を述べたいと思います。 本来、空手道は年齢・性別を問わず、自己の心身の鍛錬をその目的としています。 その過程において、自分の力を試し、至らぬ点に気付かせてもらうことで、その後の修行に繋げていくための手段として「試合」があります。

しかし昨今、この試合における勝負偏重主義の過熱が、空手のみならず少年スポーツの世界で問題となっています。 確かに、試合である以上、勝利に拘ることは当然でありますが、それは今自分の持てる力の中で目指すべきものであり、ただ勝ちを掴むことのみを目的とした稽古は、本来の空手道の趣旨に外れてしまいます。 また、選手以上に、指導者や保護者が熱くなることも多く、試合中はセコンド席から罵声に近い指示を飛ばし、負けて帰ってくる子供に叱責をしている光景は見ていて気持ちの良いものではありません。 このような風潮の中において、長谷川代表の提唱するKSEリーグが発足されたことは非常に意義のあるものと考えます。 子供達が伸びのびと試合を楽しむことができ、他道場の生徒間同士での交流も芽生えます。

また、リーグ戦にすることで、負けてしまった後でも、すぐにその反省点を実践できることは、技術向上の面においても理に適うものです。 私は、この取り組みは決して目新しいものでなく、「試合」を本来あるべき姿に原点回帰させるものだと考えています。 この、KSEリーグが認知・浸透していくことは、空手業界における未来を明るく照らしてくれるものと思います。 その発展のために、微力ながら協力させて頂きたく存じます。

PROFILE

郷英館空手道 館長
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